2008.04.05 Saturday08:20
WEBを見る狂人
貴重な時間を一分一秒たりとも無駄にしないために、来る日も来る日も、ただじっと座って時計の針が動くのを見つめ続ける狂人の話が萩原朔太郎の短編にある。(→萩原朔太郎『「宿命」の「時計を見る狂人」』)

萩原朔太郎 (ちくま日本文学全集)
萩原 朔太郎
それと同様の状態に僕もよくなりそうになる。ただじっとパソコンの前でRSSリーダーやソーシャルブックマークや2ちゃんねるのスレッドなどの新しい記事、書き込みを眺めている。次の記事を!次の書き込みを!貴重な情報をひとつたりとも無駄にしないように、新しい情報が読み込まれるのをただじっと見つめ続けるのだ。
時計は新しい次の時間へと人を誘うし、WEBは新しい次の情報へと人を誘う。時にそれは抗いがたい魅力を持って人を拘束する。魔力と言っても良い。好むと好まざるとに関わらず、次の新しい何かへと連れて行く。そして、WEBの持つ強力な遠心力は同時に強力な求心力を持って人を拘束する。物理的に正しいかどうかは知らないけれど、少なくともWEBにおいては、遠心力の強さは求心力の強さに比例していると思う。
昔観たトリュフォーの「大人は判ってくれない」という映画の一シーンが鮮烈に焼きついている。家出をした主人公は遊園地で時間を潰す。回転ドラムは遠心力を体験出来るアトラクションで、彼はその高速で回転する回転ドラムの中で遠心力に耐えて壁に張り付いていた。満面の笑みを浮かべて。

あこがれ・大人は判ってくれない〔フランソワ・トリュフォー監督傑作選1〕
最近はパソコンに向かって何か作業をしないといけないときは、ノートパソコン抱えて喫茶店に行くなど、極力ネットに繋がらない状態に自分を置くようにしている。考え事をしたり、何か整理したりしないといけないときも同様だ。つないだ瞬間、僕は遠心力で遠くに飛ばされそうになるから。満面の笑みで。
「新しさが現代人を刺激する。それというのも、それがただ新しいからである」(うろ覚えだけどたぶんヴェルナー・ゾンバルト)
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