2009.05.19 Tuesday20:36
イスを無くしたキヤノン電子さんは障害者雇用はどうしてんの?
本当に「いす」がなかった,キヤノン電子のオフィス:ITpro
先日,キヤノン電子の酒巻久社長に,桜が満開となっていた同社の秩父工場(写真1)を案内していただいた。酒巻社長は『椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる!』(祥伝社)の著者であり,職場から「いす」をなくすという大胆な改革を実行した人である。秩父工場内には,応接室など一部を除き,会議室にも,開発部門や管理部門のオフィスにもいすがない。もちろん,社長室にもないという。
『椅子と〜』によると,会議室からいすを撤去したことで会議への集中力が高まり,年間の会議時間が半減した。またオフィスでも,立つことで社員同士のコミュニケーションが密になり,問題解決の精度やスピードが劇的に改善したという。いす代も不要になり,いすをなくした分スペースが節約されるなど「いすをなくすことのメリットは計り知れない」(酒巻社長)。
まぁ、著書を読んでないまま書くのもアレなんですが・・・
立って会議や打ち合わせをする効用は確かにあると思うのだけど、日常業務までというのはどうなんだろうね。「応接室など一部を除き,会議室にも,開発部門や管理部門のオフィスにもいすがない。もちろん,社長室にもないという。」っていう一文を見て最初に思ったのは、障害者雇用はどうしてんの?ってことだった。
障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)によると、民間企業の場合、雇用労働者数×1.8%が雇用義務となる障害者数で、従業員56人で1人の障害者雇用義務がある。キヤノン電子社のHPを見ると単体で1677人ということなので、1677人×1.8%=30.186つまり、約31人が同社が雇用せねばならない障害者数となる。
第一生命経済研究所の2007年発表「全国の従業員数100 人以上の企業に聞いた『企業の障害者雇用に関する調査』」によると、最も多くの企業が雇用している障害者は肢体不自由者だという。

複数回答ではあるが、全体でも78.3%、1000人以上の企業では実に92.4%が肢体不自由者という調査結果が出ている。
基本的に肢体不自由者の受け皿となる職種というと管理部門や座り仕事など身体的な負荷が少な目の職種につけることになると思うのだけど、上記の記事からはそのような障害者の受け皿となる職種からもイスを取り除き、まずはスピード、まずは効率を重視した体制を作っているように見えるのだが、実際、どのように障害者雇用問題と徹底的なスピード重視との折り合いをつけているのか気になる。
ちょっと考えてみたところだと、
1)健常者のみの措置で、障害者向けにバリアフリー環境を提供している
2)イスをとっぱらっているのは取材のあった秩父工場など一部だけで、ちゃんと他の事業所に障害者雇用に配慮した部門がある
3)特例子会社の特例を利用している。これは、つまり、障害者雇用促進法にはグループ会社向けの特例があって、子会社、関係会社で厚生労働大臣の認定を受けた企業は、子会社の雇用義務を親会社が被ることができる。この場合、キヤノン電子社が雇用しなければならない31人は親会社のキヤノン社が雇用することで雇用義務を果たしたと見られる。
4)こまけぇことはいいんだよ(AA略)
なんとなく、2)か3)なのかな?とは思う。1)だとさすがに、3.6秒で歩かないといけない廊下とか見えないプレッシャー与えるし。しかし、連結で4,796名の従業員ということなので、3)だとしたら子会社でも適用対象となる会社はあるだろうけど、それはグループ適用させず各子会社が雇用義務を果たしているのだろうか?という疑問がさらに沸く。
HPやIRを見た感じ、障害者雇用に関しては全く情報を見つけることは出来なかったので、ぜひ、このイスを取っ払うというテイラー主義全開なスピード・効率重視の経営方針と、障害者雇用などを含めたダイバーシティとのバッティングをいかに解決したかという広報をして欲しいなぁと思った。
何度も書いていることですが、経営って、実は決定することが重要なのではなく(いや、重要ではあるんですが)、確実に生じる矛盾をどのように解決したか?というところが最も重要なんじゃないかなと思います。案外その「いかに矛盾を解決したか」は多くの経営者は語らなくて「何を決めたか」のアピールばかりなのは、経営者というお仕事柄もあるのかもしれないけれど、ちょっとつまらないなと思いますね。キヤノン電子さんにはぜひ前者についてもぜひ情報共有、PRして欲しいなぁと思うところです。
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椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる!
酒巻 久

就業支援ハンドブック〈2009年度版〉―障害者の就業支援に取り組む方のために
高齢障害者雇用支援機構障害者職業総合センター職業リハビリテーション部

実践ダイバーシティマネジメント 何をめざし、何をすべきか
リクルートHCソリューショングループ














