2009.11.13 Friday16:19
「鳥居」〜1000年以上も遡るその歴史と起源は謎ばかり
最近、「鳥居」という本を読んで鳥居の歴史がざっと書かれていたのでまとめておきます。

まあ、ほかにないし。
安価で手ごろな「鳥居」ガイド
とっつきやすい「鳥居本」
鳥居のガイド本としては格好。神社や鎮守の森、神域の入り口はもちろん、不法投棄や立小便対策でもあちらこちらで見られる鳥居ですが、実はその起源は未だはっきりとしていません。
鳥居は実はかなり多くの種類があり、およそ60種類以上あると言われています。伊勢神宮や靖国神社などの神明系と八幡神社や山王神社などの明神系の二種類が多く、その他、島木神明系、三輪系、合掌系などがあります。(鳥居の画像はwikipediaより。)
鳥居は俗世界と神域とを分ける境界を示していますが、あわせて鳥居をくぐるという行為は穢れを落とす禊という意味があると言われています。
大祓などの神事で茅草や藁を編んだ輪を鳥居に設置して、それをくぐり災厄を祓う「茅輪くぐり」も実はその由来は定かではなく、当初茅輪は腰につける小さな輪だったものが、平安時代以降人がくぐれる大きな輪になったといわれています。鳥居をくぐるという行為が茅輪を大きくした可能性を「鳥居」の著者稲田智弘氏は指摘しています。
また、山岳信仰では修行する山岳全体をや洞窟などを母体とみなし山に入って修行ののちまた山を下る過程は擬似的な死と再生と見なされていますが、鳥居をくぐり参道を行き来することもまた日常的な擬似死再生儀礼という意味合いもあります。
このような複合的な意味を持つ鳥居ですが、その由来には諸説あり、また語源なども定かではありません。資料上最も古い鳥居の登場はまず、延暦二十三年(八〇四)に成立した『皇大神宮儀式帳』の「於不萱御門」(うえふかずのごもん)が鳥居を指すと考えられています。鳥居という言葉自体の登場は延長五年(九二七)に完成した『延喜式』に鳥居という言葉があり、写本によっては鴨居と書かれているものがあるため、この時期に鳥居という言葉が使われ始めたと考えられています。
ただ文献には「鳥居」の他に鳥居を指す言葉が多数あり、例えば天門、神門、華表、額木、鶏栖、助木、鳥井、鶏居、華門、衝門、八宿、祇囲、華極、桓などがありますが、何れにしろ鳥居的な何かが8世紀から遅くとも十世紀頃には登場していたと考えられています。
諸説ある鳥居の由来のうち有力なものはやはり鳥に関する説で、日本の神話上鳥が神聖なものとして扱われていることから来ています。天岩戸を開いた長鳴鳥、タカミムスヒ神が使わした無名雉、神武天皇を助ける八咫烏、あるいは死して白鳥になるヤマトタケルなどが代表的ですが、様々な伝承、神話のエピソード中に鳥が登場し神の使い、または神の来訪を告げ、あるいは魂を運ぶなど神聖なものとして扱われています。(ちなみに鳥は天上の生き物、その対となる地上の生き物が鹿なのだそうです)
また、この鳥に関連して、タイ北部のアカ族(ハニ族)の村の出入り口に建てられるロコーンという門は悪人や悪霊の出入りを防ぐ役割があり、門に触れることすら許されないが、このロコーンは横木の上に木彫りの鳥を模した造形物が設置されているという。かつて、長江流域に栄えた長江文明の人々は後に黄河文明の進出によって各地に離散していくが、日本列島にも入ってきて稲作を伝えたと言われている。元々長江文明でこのような鳥居的な鳥を神聖とする建造物があり、それが稲作と同時に日本にも伝えられたのではないかとの説が有力になってきているようです。
鳥とあわせて神聖視されるものに、柱があります。例えば日本の神々を数える時の単位が柱であるように、神そのものであったり、神が宿る依り代であったりします。柱は天と地を結びつけ、より天に近づけるとともに、天からの使いがやってきやすい場所でもあり、また柱を立てることで境界を示す意味もあります。
このように鳥居は境界を作るとともに境内を神の支配下とするための役割もあり、また神の使いである鳥が降りてくる場所でもあり、さらに鳥居をくぐることで禊や擬死再生儀礼を行う門でもあるという非常に複合的な意味をもった建造物であるようです。
「鳥居」(P199-200)
鳥は確かに、古代人にとっては神霊と深いつながりを持っていた。鳥居とはそのような鳥との関わりから生まれたものだろうと思われる。
そして鳥居は目印として神聖な空間の始まりを人々に指し示し、聖域と俗域を分ける境界線を生じさせることでその内側が神のものであることを明らかにし、神の宿る聖なる門として邪悪なものの侵入を防ぎ、また人々の信仰の証や祈念碑としても建てられる。さらにそのデザインや材質を変えたさまざまな鳥居が立てられることもあるのかもしれない。
いろんな意味を持っている、あるいは持っていた鳥居は、神社のシンボルとしてときに敬遠されときに慕われつつ、これからも日本の風景のなかに静かに立ち続けていく。
鳥居を見た時に感じる表現しがたい感覚のありかが、なんとなくつかめたような気がします。シンプルでありながら複合的な意味を持ち、そして死と再生の疑似体験の入り口であるということが直感的に感じられるからなのかなということで、まだまだ謎の部分が多い鳥居ですが、興味と理解が深まりました。
参考サイト
・鳥居 - Wikipedia
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